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竹林のゆとりブログ

山奥で生活し、日々の思いをつらつらと書くブログ。 IT、数学、アニメなど。

商集合、商ベクトル空間

商集合、商ベクトル空間は、数学をやったことがない人はほとんどが聞いたことがないでしょう。

しかし、数学においては基本的かつ重要な概念で、 学部生時代に商集合が理解できるか否かが卒業できるか否かだと言われていました

商の意味

最初に商と言われる操作全体の意味を説明します。 ひとことで言うと、商は見たくない部分を無視して、見たい部分だけの情報にする操作です。

例えば、DeepLearningのTutorialでよく出てくる、文字認識を考えましょう

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これらはすべて『あ』という文字として、認識します。その違いは、情報としてはいらないものですね。 つまり、脳内では、"あの複数の画像"⇒"『あ』という文字"という変換が行われています。

この操作が、の操作です。

商集合

意味を説明したところで、商集合を定義しましょう。 まず、同値関係を定義し、集合を同値関係で割ったものとして商集合を定義します。

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これは{(x,y) \in R}なら{x}{y}は同じだという関係を定義しています。 f:id:fatal-t-h-f-flydream-bamboo:20160611093212p:plain

{x}と同じもの集合です。 これは同値関係の定義から以下の性質が成り立ちます。

  • {x}{x}の同値類
  • {(x,y) \in R}なら、{x}の同値類と{y}の同値類は一致する。
  • {(x,y) \notin R}なら、 {x}の同値類 {\cap y}の同値類 {=\phi}

これによって、同値類内のどの元をとっても同値類が変わらないことがわかります。 また、2つの異なる同値類に属する元も存在しません。 f:id:fatal-t-h-f-flydream-bamboo:20160611093354p:plain

定義をしましたが、これだけではわからないことが多いと思うので、例を考えましょう。

同値関係の場合関係自体を{\sim}で表し、{(x,y) \in \sim}{x \sim y}と書くことが多いので、 以下ではその表記します。

f:id:fatal-t-h-f-flydream-bamboo:20160611094848p:plain これは同値関係になっています。この同値類は3で割ったあまりの集合となります。 つまり、あまり 0,あまり 1,あまり2の3つの集合になります。いわゆるmod3です。 あまりだけに着目したい場合は、このようにみたほうがわかりやすいです。 これは、集合なだけでなく、体の構造を持っており、足し算、掛け算が自然に定義できます。

次の例をみましょう。 f:id:fatal-t-h-f-flydream-bamboo:20160611094956p:plain これに対し、同値関係を{(0,y) \sim (1,y), (x,0) \sim(x,1)}で定義します。

長方形に対して、辺以外の点は自分のみが同値になっている。辺を構成する点は自分と、自分と対となる点が同値になっています。

これはトーラスと呼ばれる形になり、RPGの地図もよくこういう形になっています。

図形のイメージは長方形(ex折り紙)の端を糊付けする操作です。 いらないものを無視するのは、幾何で考えると糊付けに対応するのも理解しておくといいでしょう。

商ベクトル空間

商集合は集合でしたが、ベクトル空間の商集合がベクトル空間でないと困ります。 そのため、"自然に""割って、"ベクトル空間"になるかを考えましょう

ベクトル空間で"自然"に割ることについて考えましょう。 商はある部分を同一視すると考えると、自然な部分というのは、部分空間(部分集合かつベクトル空間となるもの)で同一視することに思えます。 同一視はどうするかと考えると、{y=x+ w(w \in W)}と書ける時、同一視すると考えましょう。

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{V/W}が積と和が定義できることぐらいは確認しましょう。 {x}の同値類の元はある{w \in W}を用いて{x+w}と表せます。 {a(x+w)=ax+aw(aw \in W)}となるので、{a(x+w) \sim ax}となります。 また、{w.v \in W}に対し、{(x+w) +(y+v)= x+y + (w+v)}より、{ x+y \sim (x+w) + (y+v)}となる。

商ベクトル空間はいつ使うでしょう。代数には基本的な定理があります。

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いわゆる準同型定理 です。これはベクトル空間だけでなく、代数一般に成り立つ定理です。 大学一年生ではベクトル空間は有限次元しか扱わないこと、また、ベクトル空間は常にfreeなので、 変わりに次元定理が紹介されています。

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ImよりKerの方が調べやすいことが多いので、これを使って写像{\mathrm{Im}f}を求めます。 この例は代数的に高度になることが多いので、ここでは省略します。

いかがだったでしょうか。商に関する理解が増したでしょうか。数学はある日突然わかるものなので、そこまでゆっくり考えてみてください。

余談

後半のアーベル圏の話などは、わかりやすく紹介するのは不可能な気がしてきました。 Inital object,Terminal objectなどはわかっていないと説明にならない気がします Kernel/Cokernel/Image/Coimageも定義をかけば、そういうもんかとわかるレベルでないと話として説明できません。どこまで知識を想定して書くか、まずは書いてみて、もっと詳しくするなら加筆したいと思います。

また、texはてなの対応も難しいですね。一部自動化してみましたが、細かく作りこむと膨大になりそうです、 使用上問題のないバグは無視してこのブログで公開するかもしれません。