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竹林のゆとりブログ

山奥で生活し、日々の思いをつらつらと書くブログ。 IT、数学、アニメなど。

言の葉の庭

最近君の名はがブームになっていますね. 君の名は自体も面白いんですが,今のブームには少し不服があります. というのも,私が一番スキな,新海誠監督の作品は『言の葉の庭』なのです.

この事を主張していたら,こんなブログを書いてくれました.

take-she12.hatenablog.com

これだけしてもらったのだから,私も何か書かないとと思い,言の葉の庭の感想を書いてみました.

雨の描写

言の葉の庭,一番最初の魅力ポイント.それが雨の描写です. 空から降ってきて,水面に跳ねる水の描写,最高じゃないですか? ぽつぽつの弱い雨,激しい雨が霧のように作られる姿,まるで水が生きているみたいで,とても美しい. これを見てるだけで心を奪われる.

最初の独白

雨が好きな理由をゆっくり語るシーン.これもすごく好きです.ちゃんと好きな理由を説明しましょう.

  1. 思わず納得する雨が好きな理由.
    普通,雨は嫌いじゃないですか?じめじめするし,荷物も増えるし… そんな本来嫌うはずべきものを,好きな理由をさらりと納得させてるんです. しかも,その理由が非常に納得しやすい. 空の遠い様に自分の夢の遠さを重ね合わせている.だから,夢を少しだけでも,近く感じさせてくれる雨や雲が好きなんですよね.

  2. 独白の雰囲気 現実のつらさを淡々と説明するあの言い方が非常に好きです.セリフなんだから喋るシーンがあってもいい.でも,あれは瞬間を切り取ったわけじゃない.今ずっと感じること,常に寄り添わざるを得ない日常の空間. 日常のどうしようもなさとそれに対する諦念がにじみ出る独白で非常に好きになりました.

出会い

非日常との遭遇.しかも,それがお姉さんというのが最高です. 足の艶めかしさなんて,もうドキドキ. あの瞬間に,この人のための靴を作りたいと思ったんじゃないですかね. それは,自分の作ったもの(≒自分)が常に憧れの人とともにありたいという願望でもあり, これほどの人にふさわしいものができれば,自分が靴職人としてやっていけるのではないかという期待でもあるように感じました.

靴職人になりたいという意思

なぜ,靴職人になりたいのだろう?それはよくわかりません. 僕はこれは設定上の理由かなと感じました. 雨を肯定的に捉える以上,外で雨が現れる. 雨で濡れた足にFocusさせるのに靴職人が最適なのではないかと感じました. 後は靴が足,つまり,活動し,変化を促す存在を支えるものであることが靴を作りたいとする理由なのかと感じました.

ゆきの先生の描写

これが僕の中ですごく好きなものの一つです. 最初はすごく完璧かつミステリアスな女性として描かれていませんか? 初めての出会いや,その後の靴の採寸をしているシーン. 多分これは,主人公目線でみてるから,だから,完璧にかつ,かわいく描かれているように感じました. それに対して,後半はどんどん先生目線になっていく. 私嘘ついてるって自己嫌悪に落ちていく姿とか,可愛くて大好きです.

独白全体

この作品って独白がすごく多くて. 今が一番人生が楽しいかもしれない,とか,27歳の私は15歳のころから何も変わっていないとか その思わず出た,心の本音をうまく使うのがとてもきれい. この言葉と背景だけでストーリを構成していく箇所がとても好きです.

告白のシーン

ゆきのさんじゃなくて,先生でしょ.

悶ました.僕はゆきのさんは,主人公のことを好きだったと思っています. その一番の理由はこのセリフ

今まで生きてきて今が一番幸せかもしれない

それを二人ではもったときです.このセリフは相手への信頼,愛情がないと言えないセリフ,つまり,相手を好きじゃないと言えないセリフに思えました.

でも,27歳のゆきのさんは,15歳の現実を知っている.

  • その頃の恋の淡さ
  • 四国との遠さ
  • 27歳と付き合うことの辛さ

それを知って,相手のためを思って断った.そうやって無理して好きじゃないふりをしたシーンに見えた.だからとても辛く,相手がいなくなった後,思わず追いかけてしまったと思っています.

ちなみに,その時靴を履いていなかったのは,主人公の存在が靴と同じ,つまり当たり前に自分のそばにあり,支えてくれるものであり,それを失ったということをあんに表したいのかと思いました.

大事のことは絶対に言わないで自分は関係ないって顔してずっと一人で 生きていくんだ

これもささった. 子供からみた大人の典型的なイメージ.

この時,主人公はどういう気持だったのでしょう?

相手を否定して,自分の正しさを認めたかった? 単純に大人への不満を述べた?

そのどっちもがあるように見えました. ただ,言えるのは心の底ではゆきの先生が好きだったんではないかと. そうじゃないと抱きついた時に受け入れられないと思うので.

おわりに

この恋は実るのでしょうか? 僕はどうしても実らないと思ってしまいます.あの頃の,青春の1ページ.あんな先生がいたな.そういう気持ちになるかと思っています.

そうやった,青春の1ページを切り取られたのがこの映画なのではないかと思います. そんな青春ですら,恋が実るとも限らない. この後もいろんなものを失い摩耗していくのです.

だから,今という1瞬を貴重にそしてまっすぐ行くべきだと言っているように感じました. 逆にそうやって閃光のように燃えない人生なんてなんの価値もなく,死んでいるのと同じだとすら感じてしまい,翻って,無価値な人生を送っている自分が死にたくなる衝動にかられます.

今を後悔せず,昔を慈しみつつ,生きていけたらいいですね.