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竹林のゆとりブログ

山奥で生活し、日々の思いをつらつらと書くブログ。 IT、数学、アニメなど。

数学ガールの秘密ノート/やさしい統計読んでみた

数学その他

久しぶりのブログです.

文章は昔よりも書いてるのですが,ブログに書く適切な分量のものがなくて, 滞りがちになってます.

今回,いいものがみつかったので,ブログに紹介してみました.

テーマはタイトルにしましたが,これです.

内容

平均,中央値,最頻値,偏差と仮説検定の基本ぐらいを解説しています. 内容は一度真面目に読めば理解できるぐらい噛み砕いてくれていました.

特によかったのが仮説検定の話.

数理モデルは数学にしか正しさを保証していません. そのため,コインを1万回投げて全て表を出ようとも,それは珍しいだけです.

これは,もし,コインに細工があって必ず表が出るようになっていたとしても,そのことを証明できないことを意味しています.

コインであれば,人工的なものなので,怪しいと直感的に気づきますが, 自然界のものを数理モデルにする時,そのモデルの正しさは誰も保証してくれないし,怪しいという感覚も誰も持っていません.

そのときに仮説の誤りを判定する基準として,統計学では,帰無仮説と有意水準を用意します. つまり,有意水準を超えたら,この仮説や数理モデルは間違っていると判断しているわけです.

雑に書きましたが,この本では,『絶対に正しい』と保証できているものと『正しいと仮定』しているものを分離して書かれています. これは僕にとって,とてもありがたいことでした.

たいていの工学系の本や新書を読む時は,主張はわかってもどこまでが正しいと本当に言えるのかは自分で必死に考える必要があり,しかも本気で細かくチェックすると最初の段階で間違っている場合が多くて,ストレスが貯まるのです.

そのストレスを解消してくれているという意味でも非常によい本でした.

世界観

一言で言うと,ラノベに慣れている世代なら簡単に没入できる世界観.

直感系のユーリ,ドジっ子感のあるテトラちゃん,天才肌のミルカさん.

どのキャラもラノベにいそうで,無理矢理感がない.

それでいて,話にご都合感があまりない. 話に無茶がないから,簡単に見えるけど,この構成はすごくうまい.

特に本質をつく天才ミルカさんを使って,話の難易度を変更させるのは見事な方法です. 僕の中で,戯言シリーズで,哀川潤を使って最後にオチを解説させてる所とリンクして思わずテンションがあがってしまいました.

印象に残ったシーン

ユーリが最頻値,中央値,平均値では区別できないグラフをみつけて,問題を解説するシーン.これはすごく印象に残っています.

問題を考えている最中の描写

新しい問題を『考える』という行為を髪の毛の色を使って美しく書いてくれている.

これがすごく嬉しかった.概して研究者は美しく書かれないものです.転じてものを考える時を美しく書かれるものは非常に少ない.

でも,僕は新しいものを考える時を,一番人間らしく,尊いものの一つだと思っています.

だから,結城先生程の人が,考えている姿を美しく書いてくれたことがとても嬉しかった.

問題の解決が指すもの

今までの情報では区別できないグラフをどう区別するかという問題が出てきます. 今回は,偏差を使って区別できるようにします.

実は,すごく一般的な方法な方法なんじゃないでしょうか.これ.

情報に対して,それを表す簡単なものを得たい→何らかの不変量を得る

その不変量でわからないものを知りたい→新しい不変量を得る

これは(数学の)研究における当たり前のプロセスです.

例えば以下と同じです.

位相空間を表す(同相を区別する)簡単なもの→連結成分で区別できる.
連結成分でわからないものを知りたい→ホモロジーの誕生

少なくとも,数学において,当たり前に行われています. この本を読んで初めて,ものを考えるとき一般においても,正しいことなんだろうなと思えました.

まとめ

あまり知らないものを小説チックに読見たい時にはいい本だと思います. 説明が痒い所に手が届くものになっているので,非常によい本でした.